[論文No.1048] 小麦オリゴペプチドのラットの窒素代謝ならびに胃腸粘膜の構造•機能に及ぼす影響

要旨
【目的】
 本研究では小麦オリゴペプチドにより飼育したラットの窒素代謝や胃腸粘膜の構造および形態に与える影響について研究を行った。

 

【方法】
 SDラット50匹を、陰性対照群と低、中、高投与量小麦ペプチド群と小麦タンパク質群に分け、日に1度の経口投与を行った。第10日、20日、30日目に代謝ケージによりラットの24時間の糞尿サンプルを取った。連続経口投与30日後に、頸部脱臼によりラットを致死させ、血清、および胃腸の粘膜を採取し、窒素代謝、血清中の濃度推移や薬物動態パラメータ、胃腸の内面走査型電子顕微鏡、腸粘膜活性の変化などを観察した。

 

【結果】

 日に一度の経口投与を行った30日後、低投与量小麦ペプチド群はラットのタンパク質消化率、窒素堆積、純タンパク質の利用率を大幅に向上させた;低、中投与量小麦ペプチド群ではタンパク質の生物学的価値を大幅に向上させた。低、中、高投与量小麦ペプチド群ではラットの血清総タンパク質含有量を大幅に向上した。低、中投与量の小麦ペプチド群のラットの胃腸上皮細胞は陰性対照群に比べて、密に整然と並んでいた。低、中、高投与量小麦ペプチド群は腸粘膜のアミノペプチダーゼ活性を大幅に向上させた。中、高投与量小麦ペプチド群はラット腸粘膜のNa+/K+-ATPアーゼ活性を向上させた。

 

【結論】
 一定用量の小麦ペプチドはラットのタンパク質の吸収と利用を大幅に向上させた。

そのメカニズムとしては:
1)消化管上皮細胞の増殖を促進;
2)腸粘膜のアミノペプチダーゼ、Na+/K+-ATPアーゼ活性を向上した。