マリンオリゴペプチドの多彩な機能について

多彩な生理活性機能を持つペプチドの集合体

当研究所のマリンオリゴペプチドは、非常に多彩な機能を持つと知られるペプチドです。
中でも、降圧効果、血糖値抑制効果、抗酸化作用、抗老化作用、脂質代謝の改善効果、免疫力の強化等、いわゆる成人病と呼ばれる一連の症状への改善効果について、多くの研究成果が報告されています。

 

下表は、当研究所のマリンオリゴペプチドに含まれる成分を同定したものですが、その中には、既に生理活性を持つペプチドとして、発見、報告されている成分が、下記のとおり含まれています。

 

※ペプチドの吸収機構は発見されてまだ間もなく、研究の歴史も浅いため、単離されたペプチドの機能の多くは未だ不明といっても良いほど、研究は現在進行中で、今後が非常に期待されている分野です。尚、当初、含有主成分がコラーゲンで在る為、マリンコラーゲンペプチドと呼んでおりましたが、特に、低分子量で吸収されやすい性質から、正式名として、マリンオリゴペプチドになりました。



文献28:介入実験の紹介

文献No.28では、マリンオリゴペプチドの投与により、高血圧患者の血圧ならびに脂肪内分泌ホルモンの表現型にどのような影響を与えるかという、大掛かりな介入実験が報告されています。期間は、2007年1月~2008年10月にかけて、中国の深セン市福田区花北社区、景田社区ならびに北京大学深セン病院外来および入院患者の皆様に説明を行い、協力をお願いしました。本態性高血圧患者100名と健常者ボランティア50名、合わせて150名の皆様に了承を頂いて実施しました。

対象とする高血圧症

データを比較検討して考察できるよう、本態性高血圧症に絞り、その基準に、1999年WHO/ISHにより制定された高血圧診断基準を採用しました。 〈詳細〉  高血圧は、日本では、最も多い生活習慣病で、平成22年度、国民健康・栄養調査によると、推計高血圧患者は三十歳以上の成人男性の60%以上、成人女性の44.6%にも上ります。慢性的に血圧が高い状態が続くと、例え、無症状でも、脳血管疾患(脳卒中)、心疾患、慢性腎臓病、腎不全などの原因となる為、日々の予防や生活改善が大切だと言われています。

(1)高血圧症には大きく、本態性高血圧と二次性高血圧の2種類があり、日本人のほとんどは本態性高血圧と呼ばれるもので、幼少期から成長期にかけての食生活や運動習慣、ストレス、喫煙、飲酒などの生活習慣や家族に高血圧患者が多いなど遺伝的な要因まで複雑に絡み合い、高血圧が発症すると言われています。二次性高血圧とは、合併症等を含む病気や薬剤が原因で起こる高血圧です 。

 

実験では、マリンオリゴペプチドが高血圧の被験者にどのような影響を与えたかを比較検討、分析するために、高血圧の診断ならびにその基準に、1999年WHO/ISHにより制定された高血圧診断基準を採用することで情報の浄化を行いました。主な診断基準としては、安静時の血圧を日に3度測定し、その測定値が、収縮期血圧(SBP) 140mmHg以上、かつ(または) 拡張期血圧 90mmHg以上であること。二次性高血圧や心筋症、冠動脈バイパス手術や重篤な肝臓障害、腎臓機能の異常などの患者は除外すること。また、正常対照群は健常者とすること(高血圧、糖尿病、冠状動脈疾患、ならびに高脂質血症等の病気なし)と限定し、実験を行いました。

 

群分けと実験方法

本実験では、ボランティア健常者による対照群と高血圧症の被験者をマリンオリゴペプチド投与群とプラセボ投与群に分けて、高血圧症状に対するマリンオリゴペプチドの作用機序について、比較検討を基に調査、研究を進めました。 〈詳細〉  マリンオリゴペプチドの高血圧に対する効果を調べるために、希望して頂いた本態性高血圧の被験者の方100名は高血圧投与群(C群)と高血圧対象群(D群)に各50名ずつ、および、ボランティアの健常者50名を正常対象群(N群)に、計3対象群に分類し、介入実験を開始しました。

被験者には、食事と運動に対する指導を受けていらっしゃる早期患者の方や長期薬物療法を続けていらっしゃる被験者もいらっしゃいます。ただ、マリンオリゴペプチドにはアンジオテンシン変換酵素の活性を阻害する効果があるため、観察期間中のすべての被験者の方にはアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI) の代わりに、利尿剤やβアドレナリン受容体拮抗薬、カルシウムチャネル遮断薬やαアドレナリン受容体拮抗薬などの血圧降下剤を使用して頂きました。

被験者の食事と運動を指導し、あるいは、従来の薬物療法と並行して、マリンオリゴペプチド(6.5 g/回, 2回/日)と偽薬(プラセボ)を投与し、3ヶ月間の前向き二重盲検コントロール研究を行いました。薬や健康食品の効果には心理的な部分から体質に影響したりする場合もあり、いわゆるプラシーボ効果(思い込み効果)を除去するために、お医者様にも被験者の方にも どちらが薬効のある披検薬(今回はマリンオリゴペプチド)で、どちらが薬効の無いプラセボであるか、全くわからないようにして、マリンオリゴペプチドの効果を正当に評価・判断できるように進めました。

サンプル採集と各指標

すべての被験者には、採血前日の夜から絶食して頂き、翌朝8時に血圧、体重、胴回り、腰周りを測定し、脈圧、平均動脈圧、肥満度指数(BMI)およびウエスト/ヒップ比(WHR)を計測しました。
また、空腹時の上腕部の肘正中静脈より 静脈血10mlを採血し(採決前には薬剤を服用せず)、血清を分離し-80度で厳重に保管して、血清遊離脂肪酸、レプチン、レジスチン、アディポネクチン等の脂肪内分泌ホルモンの濃度変化の分析を行いました。
血圧測定には750型オムロン全自動血圧計を使用。血清遊離脂肪酸、レプチン、レジスチン、アディポネクチン等の脂肪内分泌ホルモン濃度の測定は酵素結合免疫分析計を用いて酵素結合免疫吸着測定法により検出。

酵素結合免疫吸着測定法とは、一般的には、ELISA?(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay) と呼ばれる方向で、ELISA?は特異性の高い抗原抗体反応を利用して、酵素反応に基づく発色・発光をシグナルに用いることで、ラジオイムノアッセイ(RIA)に比べて、放射性物質を用いないために安全性が高く、安価で簡便であると、微量タンパク質や感染微生物の抗原の検出や定量に広く用いられている方法です。(2)

全データはExcelファイルに保存して、データベースを製作し、有意差水準をP<0.05とし、SPSS13.0を用いてt検定で分析を行いました。t検定では、各群の平均値の差に着目して、マリンオリゴペプチドを投与した被験者の方と、偽薬を投与した被験者の方の間で、症状が改善された、或いは数値的に改善していた人数を比較して、その差が偶然の確率ではなく、実際の効果に結びついたと判断される場合に、有意差が在ったと言い、その基準(有意水準)は目的によって異なります。
統計的解析を行う前に設定し、偶然ではない確率で、どれぐらい状態変化が見られたかを、各群の平均値に着目して、比較検討し、評価を行いました。

高血圧症とサンプル採集について

サンプル採集では、先ず、被験者の血圧、体重、胴回り、腰周りを測定し、脈圧、平均動脈圧、肥満度指数(BMI)およびウエスト/ヒップ比(WHR)を計算しました 。
血圧の正常範囲は、収縮期血圧で130mmHg未満、拡張期血圧で85mmHg未満とされており、血管内の血液がもつ圧力をさします。心臓の収縮期の血圧を最高血圧、拡張期の血圧が最低血圧になります。
ただ、血圧は様々な要因に影響されます。

近年、メタボリック症候群という言葉をよく耳に致しますが、メタボリックシンドローム代謝症候群は、内臓脂肪型肥満(内臓肥満、腹部肥満)に高血圧、高血糖、脂質異常症のうち二つ以上を併発した状態です。(1) 高血圧は、原因が明確でない本態性高血圧とホルモン異常などによって生じる二次性高血圧に分類され、本実験研究では、本態性高血圧との関与について調査を行いました。と、同時に、肥満の方の高血圧の発症率は通常の2~3倍にも上り、体重1kgの減量により血圧は2mmHg低下するとも言われ、本実験研究でも肥満度指数(BMI)およびウエスト/ヒップ比(WHR)を測定しています。

BMI(Body mass index)=体重kg/(身長m)2  , 

標準体重=22×(身長m)2 BMI=22の時、高血圧、高脂血症、肝障害、耐糖能障害等の有病率が最も低くなると知られ、この時の体重を理想としたのが標準体重です。BMI 25以上を肥満と判定しています。ウエストは姿勢を正して自然に立ち、胴回りの一番細い位置を、ヒップは、お尻の一番高い位置からお腹の一番出ている位置の回りを測定します。

タンパク質と食欲の関与が着目されており、ダイエットとの関係も興味深い部分と言えます。今回、血清中のレプチン濃度を測定しましたが、このレプチン濃度が下がると強い空腹感を感じることがわかっています。

通常の脂肪細胞は、インスリンを介さずにグルコースの取り込みを促進し、インスリン受容体の感受性を良くして、アディポネクチンを分泌します。高カロリー摂取や運動不足などによって脂肪細胞は次第に肥大化していき、肥大化脂肪細胞となり、徐々に、巨視的な肥満と共に、アディポネクチンの低下を招きます。肥満によるアディポネクチンの低下は耐糖能の悪化や動脈硬化を促進します。

以上の観点から、アディポネクチン等の脂肪内分泌ホルモンの濃度変化を分析することで、肥満傾向と高血圧の発症を数値化して検討することができます。
脂肪細胞が肥大化すると、先ず、インスリン抵抗性を引き起こすレジスチン等の物質が肥満中枢を刺激して、食欲を抑制するレプチンの分泌や、インスリン受容体の感受性を良くするアディポネクチンの分泌を低下させます。

同時に、レプチンの分泌抑制が間に合わず過剰になった場合に、過剰になったレプチンが交感神経の活動を亢進させ、血管を収縮させて、血圧を上昇させるとも知られます。
本実験研究では、近年増加している肥満が招く高血圧症との関与に着目し、その基本的な部分でマリンオリゴペプチドがどのような役割や効果を果たせたかという部分に着目しています。

結果

介入実験における被験者は、高血圧患者102名と健常者ボランティア53名でしたが、その内、2名の患者と3名の健常者はマリンコラーゲンペプチドの味、または多忙等の理由により中断しました。開始時の各対象群間での被験者の比較では、年齢、性別、罹病期間、BMI、WHR等の指標には有意差は認められませんでした。喫煙や飲酒の有無、および高血圧の家族歴にも有意差はありませんでした。

マリンオリゴペプチド投与前後の変化について

マリンオリゴペプチド投与前後の血圧の平均値の変化に着目しますと、表2のとおり、マリンオリゴペプチドの投与前、高血圧投与群と高血圧対照群(C、D群)の収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、脈圧(PPD)、平均動脈圧(MAP)の平均値はすべて正常対照群(N群)より有意に高かった(P>0.05或はP<0.05或はP<0.01)。が、マリンオリゴペプチドの投与後、C群とD群のSBPは投与前に比べ有意に低下しました(P<0.01)。

また、C群の投与後のDBPも投与前に比較してより顕著に有意に低下しました(P<0.05或はP<0.01)。D群の投与後のDBPは投与前より穏やかな上昇傾向を示し、有意差が確認されました(P<0.05)。
C、D群のPPDとMAP平均値はN群より顕著に高く(P<0.05或はP<0.01)、C、D群のPPD各平均値とC群のMAP平均値は投与前より有意に低下した(P<0.01)。その他の投与前後の比較では有意差は認められなかった。

注釈:投与前後はペアサンプルt検定を用いて比較した。各対象群間と群内での比較は一元配置分散分析を用いて比較した。群内では投与前に比べ、P<0.01;群内投与開始1.5か月後に比べ、P<0.05或はP<0.01;C群に比べ、P<0.05或はP<0.01;D群に比べ、P<0.05或はP<0.01。

脂肪内分泌ホルモン水準の比較について

表3のとおり、マリンオリゴペプチドの投与前、C、D群の遊離脂肪酸(FFA)の濃度はN群より顕著に高かった(P<0.01)。が、C、D群間の比較に有意差は認められなかった。
マリンオリゴペプチドまたは偽薬の投与後、C群のFFA濃度は投与前より有意に低下した。(P<0.05或はP<0.01)。

C、D群のレプチン、レジスチンの濃度はN群より顕著に高かった(P<0.01)。しかしながら、アディポネクチンの濃度はN群に比べ有意差が認められなかった。
C群の投与開始より3.0ヶ月後のアディポネクチン濃度は投与前、および投与開始1.5ヶ月後より、有意に高かった(P<0.05)。
その他の各対象群における投与前後の比較では、有意差は確認されなかった。各対象群の投与前後のレジスチン、レプチン濃度に有意差は確認されなかった(P>0.05)。

注釈:投与前後の比較はペアサンプルt検定を用いて比較した。各対象群間と各対象群内での比較は一元配置分散分析を用いた。群内投与前に比べ、P<0.01;群内投与開始1.5か月後に比べ、P<0.05或はP<0.01;C群に比べ、P<0.05或はP<0.01;D群に比べ、P<0.05或はP<0.01。

考察

穏やかな血圧上昇が、ほとんど自覚症状を伴わないこともあり、高血圧は様々な心血管疾患を引き起こす重要な原因となっています。日本人の主な死因の2・3位が心疾患と脳血管障害(脳卒中)で占められていることも注意しなければなりません。

非薬物療法としては、食塩の摂取制限が一般的で、1日6g未満が推奨されています。併せて、野菜や果物の摂取、体重減量、運動、節酒等、それぞれに降圧効果が報告されています。が、多種の降圧薬を含め、従来の治療方法では、高血圧やその発病過程での心臓血管における合併症を完全に抑制することは未だ不可能であるため、天然の食物資源から、より安全で有効な機能を持つ生理活性物質が探究あるいは研究されています。

王军波博士らは高速液体クロマトグラフィーとスペクトル分析器を用いてマリンオリゴペプチドの相対分子質量や含有アミノ酸を分析しています。動物実験あるいは体外細胞培養実験の結果からは、マリンオリゴペプチドは生体内の免疫力増強、腎機能の保護、老化遅延等の作用性を保持していることがわかっています。あるいは、膵臓細胞のアポトーシスを顕著に予防し、栄養状態の改善や血糖代謝の調整、血脂質の低下、抗酸化機能も保有すると報告されています。
が、ヒト代謝のメカニズムと動物実験におけるメカニズム種による違いがあるため、高血圧などの罹病者ではマリンオリゴペプチドやその他の生理活性ペプチドの投与効果またはその作用機序に対してさらに深い研究が望まれています。

本介入研究の結果では、マリンオリゴペプチドまたは偽薬を投与後、C群とD群のSBP(収縮期血圧)、PPD(脈圧)の平均値は投与前に比べて有意に低下傾向を示し、C群のDBP(拡張期血圧)、MAP(平均動脈圧)の平均値は投与前より低下し、D群のDBP平均値は投与前より有意に増加傾向を示しました。

以上の結果より、各高血圧群の被験者では、従来の薬物治療は血圧の安定に有効であったが、さらに並行してマリンオリゴペプチドを服用すれば、DBPとMAP平均値に改善効果が認められました。
その作用機序としては、マリンオリゴペプチドが血管壁の弾力改善や末梢血管抵抗の低下に有効であったことに起因すると考察されましたが、その結論に関する既存の文献報告はありません。

今回の介入実験で(表3に赤枠で指摘した部分なのですが)、マリンオリゴペプチド投与により、1.5ヶ月目、3ヶ月目と順調に血清中の遊離脂肪酸水準が低下しました。
プラセボを投与したグループでも1.5ヶ月目では遊離脂肪酸水準が一旦低下し、身体に良いものを飲用する習慣が良い結果をもたらしたかもしれませんが、3ヶ月目には再度増加傾向を示しています。
なぜ遊離脂肪酸水準の低下が重要かと申しますと、インスリン抵抗性(インスリンの効力が、健常人と比べて血糖値が下がりにくくなる等、個人差を持つこと)と関与しています。

肥満に伴う飽和脂肪酸の多い食事がインスリン抵抗性を生じさせ糖尿病の罹患率を増加させたり、肥満に伴う内臓脂肪から遊離脂肪酸が増加してインスリン抵抗性を強め、高インスリン血症をきたす場合もあり、遊離脂肪酸の増減は高血圧発症と密接に関与します。
インスリン抵抗性状態における内皮細胞依存性血管弛緩反応による障害が高血圧のもっとも重要なメカニズムだと指摘されています。


表3のとおり、マリンオリゴペプチドの投与前、C群とD群のFFA平均値(遊離脂肪酸水準)はN群よりすべて高かった。
このことからは高血圧患者はFFA増加の高リスク群にあることが確認された。
マリンオリゴペプチドまたは偽薬を投与後C群のFFA水準値は投与前より顕著に低下したが、D群とN群には有意差が認められなかった。
以上からはマリンオリゴペプチドがFFA水準値の抑制に有効であったと同時に、個々の生体の自己防衛能力にも相関性があることが考察されます。



近年の研究から、脂肪組織が生理活性物質の産生に関与して、糖尿病や高血圧、アテローム性動脈硬化症の発症に調節作用を保持することが解ってきています。
今回の指標であるレプチン、レジスチン、アディポネクチン濃度レベルの変化ならびにそれらのリセプターの分布特徴、または遊離脂肪酸代謝の高血圧などの疾患におけるメカニズムが生命科学研究領域で注目されていると共に、それらの指標が高血圧の臨床治療における早期予防のターゲットとして着目されます。

本研究結果では、C、D群のレプチン、レジスチンの濃度はN群より顕著に高かった。これは、先ずレプチンが、脂肪組織の増加に伴い、エネルギーの取り込みと消費の制御に関与して、食欲と代謝の調節に関わって増加したと推察されます。
またレジスチンは、レプチンの増加に伴い、脂肪細胞や筋肉細胞、幹細胞などにおいてインスリン抵抗性を引き起こすと知られるアディポカインの一つで健常なN群に比べて、謙虚に高かったと認められます。が、アディポネクチンの濃度は健常なN群に比べ有意差が認められなかった、この点で、アディポネクチンが脂肪細胞から分泌されるタンパク質で、一般的なホルモンに比べ血中濃度が大幅に高く、インスリン感受性の亢進、動脈硬化の抑制、抗炎症、心筋肥大抑制等、多彩な役割を担っている部分が非常に興味深いと言え、本介入実験でも意義深い部分になります。

表3のとおり、マリンオリゴペプチド投与により、C群の投与開始より3.0ヶ月後のアディポネクチン濃度を投与前に比較して有意に上昇させました。
以上の結果より、マリンオリゴペプチドはアディポネクチンの分泌促進効果は齎しましたが、レジスチン、レプチンには有意な変化を与えなかったと指摘されます。
レプチン、レジスチン、アディポネクチンの検査値は高血圧の発症に重要な指標とされています。

今回指標とされた、離脂肪酸、レプチン、レジスチン、アディポネクチンに関与する脂肪内分泌ホルモンの異常表現型は、高血圧と心臓血管疾患合併症の重要なメカニズムの一環であり、マリンオリゴペプチドは脂肪内分泌ホルモンの表現を抑え、感受性を促進させることで血圧低下または抗アテローム性動脈硬化に効果を表わしたと考察されます。
本介入実験では、そのメカニズムに対して、海洋性生理活性ペプチドの高血圧および心臓血管合併症における臨床応用に理論的な根拠を提示しています。

 

■マリンオリゴペプチドの成分詳細
No. アミノ配列 分子量 No. アミノ配列 分子量 No. アミノ配列 分子量 No. アミノ配列 分子量
1 AA 160.17 16 NVG 287.93 31 SPGAG 387.17 46 NGGGGS 447.17
2 AP 186.11 17 SSP 289.1 32 NAGK 388.18 47 DSGDG 449.11
3 AK 217.12 18 AGGP 300.12 33 DAGK 389.17 48 TGGPK 458.22
4 VL 230.17 19 GPAG 300.13 34 FTE 395.15 49 RER 459.26
5 GR 231.1 20 KR 302.18 35 TGPK 401.18 50 NTTM 465.18
6 PQ 243.16 21 TPT 317.24 36 QGAK 402.23 51 GHAGE 469.19
7 LN 245.14 22 GPR 328.18 37 VTGK 403.17 52 AGGPLG 470.2
8 TQ 247.12 23 AGPS 330.15 38 TGVE 404.2 53 WYN 481.17
9 PH 251.96 24 SGGE 347.98 39 VDGK 417.21 54 AAGPGL 484.2
10 LQ 259.17 25 GPQG 357.16 40 GHGR 425.15 55 ARGGK 487.25
11 NK 260.13 26 VGGK 359.21 41 GAAGR 430.23 56 GAGGMT 492.19
12 SR 261.1 27 PNH 365.96 42 EGAR 431.2 57 VEKEKH 768
13 GGH 269.07 28 LIE 373.18 43 PALH 435.86
14 VR 273.18 29 RGF 378.02 44 YSAP 436.13
15 KK 274.18 30 NPR 385.02 45 MADT 436.2


参考文献

1)一般社団法人 日本臨床栄養協会編者 「NR・サプリメントアドバイザー必携」 p139 2)ウィキペディア ja.wikipedia.org/wiki/ELISA 2013年09月19日

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