製品研究開発

高齢者の健康を栄養補給から考える

内閣府の高齢社会白書によりますと、我国では、世界のどの国もかつて経験したことのないような高齢化社会を迎えています。中でも、平成22年(2010年)に高齢者1人を支える現役世代(20~64歳)の人口が2.6人であったものが、平成72年(2060年)には高齢者1人を支える現役世代(20~64歳)が1.2人にさらに減少すると言われています。(1)

つまり、数の上では、カップル二人で、二人の高齢者を支えるという、驚くような時代が迫っています。且つ、一人暮らしの高齢者数も年々増加の傾向を辿り、女性の場合は5人に一人の割合で一人暮らしをしています。この統計データを見ただけで、今後、如何に元気に暮らすことが大切なテーマであるか、おわかり頂けるのではないでしょうか。

近年、医学の発達に伴い、日本女性の平均寿命は、2013年で86.41歳という世界一の長寿を記録しました。同時に、先のデータからは予防医学の重要性が指摘されています。「死ぬまで元気で生きたい」多くの方が、そのように願っていらっしゃるのでは無いでしょうか。

が、加齢にともないインスリン抵抗性の上昇や運動機能の低下が見られ、それに伴うメタボリックシンドロームや骨格筋の減少によるサルコペニアの疾病リスクを高めたり、特に、高齢者層では、食欲が減退し、潜在的なPEM(Protein Energy Malnutrition)低タンパク質状態やPEW(Protein Energy Wasting)タンパク質の代謝異常が懸念されています。

たんぱく質・エネルギー低栄養状態(PEMの実態 ※以下「PEM」と表記)では、高齢者施設入居者の調査( 9施設)によりますと、低たんぱく質状態の指標である血清アルブミン値3.5g/dl以下の人は、女性で39.4%、男性で42.8%(85歳以上の男性では56%)もの高い割合で確認されています。

何と、その統計からは10人のうち約4人が栄養失調状態ということになります。高齢施設の入居者のなかで日常生活動作のすべてに介助を必要とする人(いわゆる寝たきりの人)では、血清アルブミン値3.5g/dl 以下は実に60%以上と確認されています。この結果からは、施設や在宅でケアを受ける高齢者の30~40%にPEMのリスク者が存在すると推定されます。

皮膚の主成分はタンパク質で、スムーズな新陳代謝にもタンパク質の補給は必要不可欠です。特に、寝たきり状態等により、筋肉の運動が低下する場合には、運動した場合とは逆に、骨格筋タンパク質の合成は低下し、骨格筋の萎縮を招くことが知られています。(2) 元気で暮らすためには、タンパク質のスムーズな摂取が必要不可欠で在るという部分がご理解頂けますでしょうか。本研究所では、高齢者の日々の健康を栄養補給の部分から支えたいという願いとともに、高齢者の栄養補給について研究を実施しています。

参考資料
(1)内閣府、高齢者白書より
(2)http://www.ajinomoto.com/jp/features/amino/aminosan/kenkyu/pdf/amino No.215.pdf 小林久峰著 シリーズ”アミノ酸”No.24 「筋肉とアミノ酸」P3 2013年9月26日閲覧

高齢者の適切なタンパク質補給の在り方について

近年の研究により、筋肉増強に、必須アミノ酸摂取が良い効果を与えることがわかっています。
骨格筋のタンパク質合成は、血液中のアミノ酸濃度に直接影響されて変化しますので、血液中のアミノ酸濃度が低下した場合には、速やかに骨格筋タンパク質合成速度が低下し、逆に血液中のアミノ酸濃度が上昇すると、速やかに骨格筋タンパク質合成速度が増加します。

安静状態の人にアミノ酸を投与した場合にも、血液中のアミノ酸濃度は増加し、骨格筋タンパク質の合成は増加することが示されています(1)。ただ、ここで気にかかることがあります。年齢や体力の状態により、骨格筋の増強にも注意しなければならないことが着目されます。

アミノ酸投与に対する高齢者の骨格筋タンパク質代謝の反応は、若齢者と同じで、アミノ酸の経口摂取により、高齢者の骨格筋タンパク質合成は若齢者と同程度に増加します。

が、若齢者と大きく異なる点は、アミノ酸とともに糖を摂取させた場合に、アミノ酸単独の摂取では見られた骨格筋タンパク質合成の促進が、全く見られなくなってしまうことです。
若齢者では、アミノ酸と共に炭水化物を摂取するほうが筋タンパク質蓄積効果は大きくなります。
このことは、通常の食事を摂取した後の骨格筋タンパク質合成の促進が、高齢者の場合には障害されている可能性を示します。 高齢者のように、寝たきり状態になると、骨格筋の萎縮を引き起こすことが知られています。(1)

筋肉には、見た目の色から、赤筋(赤色筋)と白筋(白色筋) の2種があります。
筋肉中に含まれるミトコンドリアの量によって左右され、ミトコンドリアが多く活発なものが赤く、少なく不活発なものが白く見えます。白筋は脊椎動物の骨格筋に多く、収縮の筋原繊維が発達して素早く縮むことができるため、速筋とも呼ばれています。
が、筋収縮は、ミオシンの構造変化による引っ張りによって起こるとも知られています。(2)

この機構は、さらに、細胞質中のカルシウムイオン濃度の変化により制御されるとも知られ、以上からは、高齢者の骨格筋形成に萎縮を引き起こす、例えば赤筋と白筋のアンバランスな形成過程が着目されるとともに、高齢者の筋肉増強には、このバランス調整が必要で在ることが指摘されます。

この観点から、ペプチドによるタンパク質増強は興味深く、多く研究されている部分かもしれません。
アミノ酸がいくつか結合したものをペプチドと呼び、そのうち、アミノ酸が2個結合したものはジペプチド、3個結合したものはトリペプチドと呼ばれ、特定のジペプチド、トリペプチドは、アミノ酸に比べ、腸管吸収が優れていることが知られています。

これは、小腸上皮細胞に、ジペプチド・トリペプチドをペプチド態のまま細胞内へ輸送し、吸収するペプチドトランスポーターが存在するためだと考えられます。
アミノ酸が効果を持つように、ペプチドにも多彩な生理活性機能を持つことがわかってきています。
高齢者のタンパク質不足をどのように補うかという問題に対し、多彩なペプチドの作用機序を目安に、高齢者に相応しいタンパク質補給が研究されています。

参考資料

(1) http://www.ajinomoto.com/jp/features/amino/aminosan/kenkyu/pdf/amino No.215.pdf 小林久峰著 シリーズ”アミノ酸”No.24 「筋肉とアミノ酸」P3 2013年9月26日閲覧
(2) http://ja.wikipedia.org/wiki/ミオシン 2013年9月27日閲覧

スーパーオリゴペプチド開発の背景

健康に生きるためには、先ず、毎日の食生活が基本となります。
が、加齢とともに様々な症状が発生して、残念ながら、思うように満足な食事を続けられない場合も多いと言えます。

老化抑制、免疫力増強、様々なストレスに対応できる抗酸化作用、皮膚の保護、体力増強等、日々の健康維持への様々な要請に対し、応えられる商品を開発したいという信念に基づき開発されたのが、『高齢者栄養補助食品、スーパーオリゴペプチド』です。

そのため、通常のタンパク質としての消化過程を必要とせず、吸収速度はアミノ酸の2.5倍、摂取後数分で血液に到達するというかつてなかった商品内容が特徴となっています。
また、人体に必要なアミノ酸スコアに極めて一致し、ほぼ100%吸収されます。

1包6g中の成分は、マリンオリゴペプチド(鮭皮由来)4.5g、小麦オリゴペプチド(小麦グルテン由来)0.5g、イソマルツロース1.0gという、非常にシンプル且つ厳選された素材を使用しています。
最先端の加水分解技術により各ペプチド成分も明確に同定され、安心、安全な食品として生産されています。


上記マリンオリゴペプチドの成分中のハイドロキシプロリンというのは、ヒドロキシプロリン(Hydroxyproline)として知られる天然に存在するアミノ酸の一種のことです。ヒドロキシプロリンはコラーゲンの主要な成分であり、プロリンとともにコラーゲンの主要な成分として、プロリンとともにコラーゲンの安定性を図ることに役立っている物質です。(1)


また、小麦オリゴペプチドに豊富に含まれるグルタミンは筋肉組織中に多量に含まれるアミノ酸で、特に骨格筋や内臓器官に重要な役割を持つアミノ酸として知られています。この二つの成分の配合値だけでも、日々のスムーズな新陳代謝に欠かせない要素が含まれていることがお分かり頂けるかと思います。

飲み方について、非常に細かい微粒子から成っていますので、必ず水分に溶かしてお召し上がり下さいますようお伝えしています。それと、自由に召し上がって頂けますが、ちなみに私の大好きな飲み方をご紹介させて頂きます。市販のレモネードやオレンジジュースに6g1包を入れて、10時や3時のおやつに飲んでいます。私自身は温かいほうが好きでビタミンCやEも一緒に摂れますので、毎日の美容と健康にと、楽しみに続けています。

参考資料
(1) ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/ヒドロキシプロリン 2013年10月9日閲覧

イソマルツロースの配合について

近年、色々なお砂糖ができています。それぞれ、様々な特徴を示し、用途や目的により、適切なお砂糖を選択する必要が求められています。スーパーオリゴペプチドにもお砂糖としてイソマルツロース1g(6g中)が含まれています。

はじめてその名前を伺った時、私自身もどんなお砂糖なのか、果たして、脳にはどんな影響があるのか、或いは、本当に健康に良いお砂糖なのだろうか等、少し不安に感じましたので、イソマルツロースについて、私の方で調べた内容を少し書きまとめておきます。参考になれば幸いです。

イソマルツロースは、別名パラチノースとして知られる三井製糖株式会社の登録商品のお砂糖です。興味をお持ちの方はそのパンフレットをご覧頂くのがBestですが、砂糖きびや蜂蜜に含まれる天然の糖質で抗う蝕性(虫歯になりにくい特徴)甘味料としても有名です。

ショ糖の構造異性体であり、唾液や胃液等の消化作用を受けず、小腸に達し、小腸粘膜に存在するスクラーゼ・イソマルターゼ複合体のイソマルターゼ活性体によりブドウ糖と果糖に加水分解され吸収される、つまり、摂取後、小腸で直接、消化吸収され、ショ糖と同様にブドウ糖と果糖として代謝されます。


このことはペプチドと一緒に小腸に到達してその後分解吸収される過程が類似して興味深く感じられました。タンパク質やアミノ基のリン酸化が、生体内では重要な役割を果たすと知られることからも非常に良い相性かとも思われました。

また、脳に与える影響も気に係る部分なのですが、ショ糖またはパラチノースをそれぞれ40gずつ摂取した場合の集中力に及ぼす影響についての実験が紹介されていました。
パネルを使ってクレペリンテストを行った結果なのですが、クレペリンテストは一桁の整数の足し算を一分間連続して行い、これを15回続けて行うテストです。

結果は、ショ糖、パラチノース摂取90分後の時点ではどちらも集中力が有意に増加しましたが、ショ糖では90分以降、その効果が低下し、有意な差はなくなりましたが、パラチノースでは150分の時点でも有意差が認められました。以上の結果からは、パラチノースはショ糖より長く集中力を持続させたことになります。

また、ヒトの精神状態が脳波に現れることから、脳波によりお砂糖の特徴でもあるリラックス効果についての実験が掲載されていました。脳波はその周波数の範囲から、δ波、θ波、α波、β波に分類され、δ波は熟睡時、θ波はまどろみ状態時、α波は安静時、β波は興奮時にそれぞれ出現すると言われています。ストレスの多い昨今の社会で、α波はリラックス状態の指標として研究されています。

実験では、パラチノースのリラックス効果を検討するために、リラックスした状態の時に放出されるという脳波であるα波の放出率を測定しています。パネルにパラチノース40g入りの飲料、またはショ糖40g入りの飲料を摂取させ、摂取前、摂取後、150分後の脳波を測定しています。
東京電機大学のデータでは、パラチノースの方がリラックス効果も良いことが示されていました。その他、いろいろな実験データがパンフレットに掲載されていました。

参照文献 パラチノース 三井製糖株式会社パンフレット

 

 

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