要約
【目的】
タンパク分解酵素アルカラーゼ(Alcalase)を用いて、小麦タンパク質から単離した免疫活性成分がマウスの免疫機能ならびに抗酸化成分による免疫調節機能とその相互関係について研究を行った。
【方法】
昆明種マウス32匹を陰性対照群、小麦ペプチド高投与量群(10mg/ml)、小麦ペプチド低投与量群(2mg/mL)、ビタミンC投与群(10mg/ml)の4群に無作為に8匹ずつ群分けを行った。高投与量群に100mg/kgを、低投与量群に20mg/kgをVc群に100mg/kgを各経口投与し、陰性対照群には10mg/kgの滅菌生理食塩水を10日間、毎日1回ずつ経口投与した。第6日目、全マウスに0.12mL 2%のヒツジ赤血球を腹腔内に注入し、第10日目マウスの眼球から採血を行い、同時に致死させ、検査、測定を行った。
【結果】
小麦ペプチドの低・高投与量群とビタミンC投与群では、マウスHC50、PFC、および脾臓細胞増殖能への影響力を有意に増加させた。同様に、in vitro試験における小麦ペプチド低・高投与量群、およびビタミンC群では、マウス腹腔内マクロファージの食作用を高めた。どちらもビタミンC群より、小麦ペプチド高投与量群の方が優れていた。
小麦ペプチド投与群およびビタミンC投与群のマウスはDPPH、・OHの消化能力は陰性対照群に比べ有意に高かった(P<0.01)。同時に、CATの活性力とT-AOC能力を向上させ、MDAの含有量を有意に減少させた。
【結論】
小麦オリゴペプチド投与群とビタミンC投与群では、過剰な遊離基の放出を防止し、抗酸化活性能を維持しようとした。同時に、酸化ストレスを防ぐ物質が食能力を維持し、小麦ペプチドは生体抗酸化システムにおいて、抗酸化能と免疫機能の調節能の双方に補完的に関与すると考察された。