要旨
【目的】
外傷用ペプチド栄養製剤による重度脳損傷者のタンパク栄養状況や免疫機能への影響を研究する。
【方法】
重篤な外傷性脳損傷患者32例に、外傷用ペプチド栄養製剤、およびその対照製剤を投与し、被験者の肝臓および腎臓の機能、栄養状態や免疫機能に及ぼした影響を観察した。
【結果】
二種類の製剤は、共に肝臓と腎臓の機能には影響を与えなかった(P > 0 . 05)。陰性対照群では、上腕囲と上腕筋囲の値が試験前より有意に低下した(P < 0 . 01)。体重、体格指数、上腕三頭筋、皮下脂肪の厚さなどには、試験前後、および群間に有意差はなかった(P > 0 . 05)。試験終了後のアルブミン、プレアルブミン、およびトランスフェリンは、陰性対照群に比べ有意に高かった( P < 0. 01 、あるいはP <0. 05)。その他の指標では、試験前後に有意差は見られなかった( P > 0. 05)。試験後の総蛋白、アルブミン、プレアルブミン、ヘモグロビン、赤血球、I gGおよびIgMは、すべて有意に増加した(P < 0 .01あるいはP < 0 . 05)。二群でトランスフェリンは共に上昇した(P< 0 . 01、あるいは、P< 0 . 05)。2群間の他の指標では、試験前後に有意差は見られなかった(P > 0.05)。
【結論】
外傷用ペプチド栄養製剤は重度の外傷性脳損傷患者のタンパク栄養状況および免疫機能を改善した。