■ ■ ■ マリンオリゴペプチドの安全性研究について ■ ■ ■

* ペプチドに関する出版、著作図書は2冊、掲載論文は40件、そのうち10件はインデックス科学技術論文に登録済です。

安全性

毒性について

「毒でないものはない。すべてのものが毒と成りうる。毒でなくするものはただ量だけである。(1)」というのは、近代毒性学の祖とされる16世紀のスイス人医師パラケルス(Paracelsus,1493~1541年)の有名な言葉です。この言葉は毒物に留まらず、現代人の食生活を考える際にも、非常に興味深く感じられます。どんな食品においても、適正な摂取量の目安や判断が、なかなかに難しいものであると実感する昨今です。

 

たとえ、どんなに効果のある食材や食品、あるいは、薬で在ったとしても、その用い方に適切さを見失わないことが非常に重要とされますが、個人によって、体質によって、その時々の状態や症状によっても適切さは変化します。


まるで万能薬のように多彩な生理活性機能を見せるマリンオリゴペプチドですが、長期間にわたり、本当にそれを食して安心なのかどうかという基本的なエビデンスについても、多数研究されています。次項に少しご紹介します。

論文No.0004マリンオリゴペプチドの遺伝毒性に関する評価研究

■ 遺伝毒性試験について

近年の研究から、一つの細胞のたった一つの遺伝子の突然変異によって、癌が誘発されたり、生殖細胞での遺伝子変異からさまざまな遺伝病に関与したり、DNAの損傷が蓄積されていろいろな病気を誘因したりと、懸念されています。健康食品として開発する前提において、体細胞や生殖細胞に、実際に遺伝子異を引き起こしたり、ヒトの健康に深刻な影響を及ぼす可能性がないか、明確に、その安全性を確認する必要があります。

 

文献No.0004では、首都医科大学、食品薬品安全評価センターで実施されたマリンオリゴペプチドの遺伝毒性に関する評価研究』がまとめられています。ここでは、マリンオリゴペプチドが生物の遺伝情報(DNAおよび染色体)に、変化を引き起こす可能性について調べるため、Ames試験とマウス骨髄小核試験、マウス精子畸形試験の3つの試験を組合わせて遺伝毒性に対する評価を行いました。

 

■ Ames試験

Ames試験では、活性化のある+S9あるいは代謝活化のない-S9の条件下で、マリンオリゴペプチドがマウスチフス菌株:TA97,TA98,A100,TA102の四種の変異株に対して、各投与量群では2度の試験中に復帰変異コロニー数が陰性対照群の2倍を上回ることもなく、濃度依存性を認めなかった。このため、代謝活性化のある+S9あるいは代謝活性化のない-S9の条件下で、マリンオリゴペプチドのマウスチフス菌株TA97,TA98,TA100,TA102の四種の変異株への誘導作用は見られず、Ames試験結果は陰性でした。

 

■ マウス骨髄小核試験

マウス骨髄細胞小核試験では、投与対照群にマリンオリゴペプチドの経口投与を行い、胸骨から骨髄液を採取して顕微鏡を用いて検査を行いました。マウス一匹あたり1000個の骨髄多染性赤血球(PCE細胞)を数え、PCE細胞数と成熟赤血球の比を算出し、対照群毎に比較検討を行っています。結果は、各対象群の小核率に有意差はなく、陽性対照群の小核率に対する比較で有意差が見られました(P<0.01)。以上より、マリンオリゴペプチドの投与による小核率の増加誘導性は認められず、PCE /RBCに対する影響もありませんでした。

 

■ マウス精子畸形試験

実験結果における陰性対照群とマリンオリゴペプチド各投与対象群の精子畸形率の比較では、有意差は見られませんでした(P>0.05)。しかし、陽性対照群との比較では、有意差があり(P<0.01)、マリンオリゴペプチドの投与によるマウス精子畸形率への影響はありませんでした。

 

論文No.0005マリンオリゴペプチドの急性毒性実験について

本論は、北京大学公衆衛生学院栄養、食品衛生学科の李勇博士の研究成果です。

 

■ 実験方法

本研究では、雄雌ラットに最大耐量(胃)法(MTD)を用い、20.0g / kg.BWでマリンオリゴペプチドの投与を行いました。投与量の適応飼育を行った5日後、16時間fastingの後、24時間以内に二度、ラットに2ml /100g.BWで経口投与を行い、2週間継続観察を行った後、ラットの中毒および死亡状況を記録しました。

 

■ 結果

表1、2のとおり、マリンオリゴペプチドの最高用量:20.0g/kg.bwの経口投与に関わらず、雌雄ラットに明らかな中毒症状や死亡は見られませんでした。解剖所見についても異常はなく、本製品の雌雄ラットの半数致死量LD50は全て20.0g / kg.bw用量を超え、急性毒性分級標準に基づき、マリンオリゴペプチドは無毒級であると確認されました。

 

                 安全性2

 論文No.0006ラットにマリンオリゴペプチドを30日間投与実験

本論文は、北京大学公衆衛生学院、栄養と食品衛生学科の李勇博士が、マリンオリゴペプチドをラットに30日間連続投与し、その結果をまとめたものです

本研究では、人推奨用量換算の50倍、100倍、150倍、200倍にものぼるマリンオリゴペプチドの投与量を体重45~55gのSD幼若ラット100匹に投与し、その安全性の確認を行いました。平均体重60kgの人のマリンオリゴペプチドの推奨用量を2.7g/人/日とし、急性経口毒性試験では、SDラットの半数致死量LD50を20g/kg以上に設定しています。

 

■ 実験方法 

SD幼若ラットは雌雄各10匹ずつの20匹を、陰性対照群と4用量群(マリンオリゴペプチドを各、人推奨容量の25、50、100、200倍で毎日1回)の5群に分け、30日間連続強制投与を行い、ラットの一般状況や行動、中毒症状や死亡状況、採血による生化学的影響、系統解剖による病理組織学検査を行い、陰性対照群の健常ラットと詳細を比較検討することで、マリンオリゴペプチドの大量投与による影響を研究しました。

 

■ 結果

マリンオリゴペプチドの安全性を研究するために、ラットを30日間、毎日1回、人推奨用量の200倍、100倍、50倍、25倍の投与を行い、その影響を調べました。30日間、ラットにマリンオリゴペプチドを強制投与を行いましたが、その外観や行動、糞便状態、食餌量に異常や中毒症状、および死亡はありませんでした。血液学検査では、高投与量群において、赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマトクリット値(Ht)に陰性対照群と比較して有意差は見られませんでした(P<0.05)。ただ、雌性のみですが、リンパ細胞百分率に陰性対照群と比較して有意差が見られましたP<0.05)が、全ての値は一部の文献の参考値の範囲内で、異常は認められませんでした。

 

生化学的指標検査では、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(AST)、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Cr)、グルコース(Glu)、総蛋白(TP)、アルブミン(ALB)、グリセロール三エステルトリグリセリド(TG)、総コレステロール(TC)の検査を行いました。雄性2.25g/kg.bw投与群のAST値、1.125g/kg.bw、9.0g/kg.bw投与群の血液尿素窒素値、9.0g/kg.bw投与量群のクレアチニン値、1.125g/kg.bwおよび4.5g/kg.bw、9.0g/kg.bw各投与群の総タンパク質量、1.125g/kg.bw投与量群のアルブミン濃度、4.5g/kg.bw投与群のトリグリセリド濃度、雌性2.25 g/kg.bw投与群のALT値、9.0g/kg.bw投与群のクレアチニン値に、陰性対照群と比較して、それぞれ有意差が見られました(P<0.05)。が、全ての値は一部の文献にある参考値の範囲内であり、異常は認められませんでした。

 

異常はないというものの、やはり、マリンオリゴペプチドを30日間、人推奨量の200倍に至って投与していますので、実際の各臓器に病理学的な変化がないか、系統解剖により、組織病理学検査を行いました。高投与量群と陰性対照群のラット各20匹の肝臓、脾臓、腎臓、胃と十二指腸、性腺(睾丸/卵巣)の臓器病理組織学検査を行いましたが、マリンオリゴペプチドに関する病理変化は認められませんでした。

 

■ 結論

本実験条件による、マリンオリゴペプチドの投与では、最大投与量(NOAEL9.0g/kg体重(人推奨用量の200倍)においても異常は認められませんでしたよって、本研究から、マリンオリゴペプチドは、健康食品として安全であると確認されました。

 

論文No.0007マリンオリゴペプチドでラット90日間飼養実験報告

先の研究では、人推奨用量換算の50倍、100倍、150倍、200倍にも相当するマリンオリゴペプチドを30日間投与して、異常は全く見られませんでしたが、さらに、本論文では、北京大学公衆衛生学院、栄養と食品衛生学科の李勇博士が、、90日間投与した場合にはどうかという素朴な疑問に対し、実験研究を行っています。よく、効果は三ヶ月見て下さいと言われるように、90日間の結果がとても気にかかるところです。

 

■ 実験方法

今回は、先の30日間の実験の倍の数のラットで実験を行いました。雌雄各20匹、各群40匹を、先の方法と同様に、陰性対照群と4投与群の5群、計200匹というすごい数で実験を行っています。

 

■ 結果

マリンオリゴペプチドを90日間強制投与した後、尾静脈採血により血液生化指標検査を行いました。結果は、表4のとおりです。9.0g/kg.bw投与量群雄性ラットの尿素窒素BUN値と血糖値GLU値は陰性対照群に比較して有意差がありました。しかし、その全ての検査値は関連報道文献の参考値の範囲内で、残りの検査項目の結果値を各投与量群と陰性対照群で比較した場合にもそれぞれ有意差は認められませんでした。

安全性3

*陰性対照群と比較して有意差があった(p≧0.05)

 

■ 結論

マリンオリゴペプチドを90日間、ラットに経口胃管法により投与した実験では、人の推奨投与量(体重60kgの場合)2.7g/一日の200倍、100倍、50倍、25倍に換算される量の投与を行いましたが、ラットの一般的な行動や行為、諸徴候、体重や食餌利用率の変化、血液生化学検査、系統解剖、組織病理学検査等の各検査値を陰性対照群ラットと比較しましたが、異常はありませんでした。以上から、マリンオリゴペプチドをラットに90日間強制投与して飼養した本実験の条件内では、最大投与量(NOAEL)が9.0g/kg体重(人推奨用量の200倍)の投与を行いましたが、異常は確認されませんでした。

 

■ 文献No.0008では北京大学公衆衛生学院、栄養と食品衛生学科の同じく、李勇博士により、なんと、さらに、12ヶ月間という長期にわたり、同様の実験が行われ、マリンオリゴペプチドの安全性が確認されています。

 

■ さらに、文献No。0014では、興味深いことに、なんと、マリンオリゴペプチドを2.25%、4.5%、9%、各用量のMCPを追加した飼料で長期給餌を行い、、マリンオリゴペプチドにより、SDラットの寿命に与える影響を研究しています。通常の寿命を、陰性対照群の雌雄のSDラット平均生存期間で見ますと709日~711日で、文献に報告された623~735日の範囲内でしたが、生存時間解析の結果から、SDラットの平均生存期間は、MCP長期投与の影響を受けました。最長で、1092日まで。有意に生存期間が延びました。中でも、高齢ラットの生存期間への影響が顕著で、平均生存期間の最終30%のラット生存時の平均寿命に顕著な延長が見られています。

 

興味のある方は、ぜひ、論文ページをご覧下さい。

 

参考文献
1)一般社団法人日本臨床栄養協会 NRサプリメントアドバイザー 志村二三夫著 食品安全衛生学 p216 より

2)国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 変異遺伝部  http://www.nihs.go.jp/dgm/genotoxicitytest.html#anchor6 より

 

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