要旨
【目的】
マリンオリゴペプチド(MCP)の高齢者の学習記憶能力の改善効果について研究を行った。
【方法】
20月齢C57BL/6J老齢マウス(雌)を選択し、無作為に高齢対照群と3つのMCP投与量群に分け、それぞれに0、0.22%、0.44%、および1.32%のMCPを混入した特殊加工飼料で6ヶ月間飼育し、その後、ステップダウン型試験とモリス水迷路試験を実施し、マウスの記憶および学習能力を評価した。また、nissl染色像により海馬体組織を観察し、各対象群のマウス肝臓内のスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性、マロンジアルデヒド(MDA)含有量および海馬における脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌動態を検出した。併せて、3ヶ月齢の若いマウスを青年対照群とし、通常飼料で飼育後、比較検討に用いた。
【結果】
MCP投与により、老化モデルマウスの空間学習記憶能力と受動的回避能力が明らかに高められた。0.44%MCP投与量群マウスの肝臓SOD活性は高齢対照群より有意に上昇した。が、MDA含有量は有意に低下した。0.44%と1.32% MCP投与量群のマウスの海馬体におけるBDNFの発現量は高齢対照群より高かった。が、各群間における海馬の神経細胞数には有意差が見られなかった。
【結論】
実験結果より、マリンオリゴペプチドは、抗酸化能を有し、BDNFの分泌を促進することにより、加齢に伴う学習記憶能力の低下を予防したことが示唆された。