[論文No.1021] マリンオリゴペプチドの血糖値低下に及ぼす補助的効果についての臨床研究

要約
【目的】
 マリンオリゴペプチドの血糖値低下に及ぼす補助的効果について研究するため、北京大学深圳病院の倫理委員会に介入実験を申請し許可を得て、実験計画書ならびに1997年の米国糖尿病協会(ADA)による糖尿病診断基準に基づき、適格および除外基準に従い、260名の志願者の協力了承を得た。

【方法】
 研究に参加した被験者のうち、入院期間により無作為に介入対象群(A)と陰性対照群(B)に群分けを行い、介入期間は入院の翌日からOGTTテストおよび他のルーチン検査を終える時から退院までとした。
 内服グルコース負荷試験・空腹時血糖テスト・ノーマル血糖監視測定ならびに夜間低血糖の観察・糖尿病患者の性別、年齢、身長、体重、体格指数(BMI)、腹囲、ヒップ周囲径、ウエストヒップ比、インスリン投与量、糖尿病罹病期間等の情報、および大血管合併症、細小血管合併症、ならびに末梢神経障害の有無を収集記録した。また、グルコース耐量曲線下面積の推定・空腹時血糖値のモニタリングデータ・インスリンの分泌機能と感度試験データ・血糖調整期データ・日常血糖のモニタリングを行い、すべてのデータをSPSS 10.0統計ソフトで解析した。

【結果】
1.一般臨床資料の分析と比較
 血糖値に影響を与える可能性として、性別、年齢、体格指数(BMI)、ウエスト•ヒップ比、インスリン投与量、糖尿病罹病期間、合併症の種類等、様々な要因について、ピアソンのカイ二乗検定を用いて分析を行ったが、両対象群の被験者間では、血糖値に影響を与える可能性がある様々な要因について、統計学的有意差は認められなかった(p>0.05)。

2.グルコース負荷試験(OGTT) 曲線下面積の比較結果
 各対象群に48例ずつの対象項目について検査を行った。介入前後の両対象群での曲線下面積は、ペア資料のt検定によって分析したところ、介入群で優位な差が認められた(t=-20.517、p<0.001)。が、陰性対照群では、OGTTグルコース曲線下面積の差は有意差がなかった(t=-1.309、p=0.197>0.05)。群間での比較では、A群がB群より高く、その差は有意で在った(t=-7.161、p<0.001)マリンオリゴペプチド介入群の血糖曲線下面積の下降幅は陰性対照群より低く、マリンオリゴペプチドの糖負荷試験の試験結果は陽性で在った。

3.空腹時血糖値試験の結果
 被験者の入院から退院まで、毎日の食事前後2時間の血糖値、ならびに就寝前の血糖値を調査した。ベースラインデータの分析では、入院第1日目から第4日目まで、両対象群被験者の空腹時血糖レベルに有意差はなかった(p>0.05)。が、入院第5日目、介入対象群の空腹時血糖値レベルは陰性対照群より僅かに高く、6日目、両群の空腹時血糖値レベルに有意な差はなく、入院後7日目から30日目まで、介入対象群の血糖値の変化は比較的に安定していたが、陰性対照群では上下の変動が観察された。マリンオリゴペプチドには血糖値を安定させ、短期的な介入により糖尿病被験者の空腹時における血糖値を低下させる効果が示唆され、マリンオリゴペプチドの空腹時における血糖値検査の結果は陽性であったと認められた。
 球面性検定の結果に従い、反復測定分散分析の結果に相関関係があるか否かを判断した。球面性検定の結果によると統計量mauchly’s W=0.545、p<0.001、つまり入院中に毎日繰り返し測定した空腹時血糖値の中に高い相関性がみられた。資料は共分散行列の球状性と一致ではないことを示し、修正が必要で、イプシロンEpsilon=0.822を用いて修正を行った。時間と対象群の分類要因からの影響ならびに時間と対象群分類との相互作用を分析し、個体内変動部分の計算の結果によると、時間要因(day)には有意な差が認められた(F=45.748,P<0.001)。このことから、測定指標(空腹時血糖)は時間に伴い変化していた傾向が認められた。時間と対象群との交互作用(day*group)には有意差はなく(F=0.650,P=0.660>0.05)、時間要因は対象群分類要因に影響しないと示唆された。対象群分類要因が既に影響を与えたことを証明し、両対象群間では空腹時における血糖値は総体的に同等ではなかったことが示された。

4.二つの対象群におけるインスリン感受性と分泌機能指標の変化の比較
 二つの対象群のインスリン感受性と分泌機能指標の変化を比較するため、データを標準化した。標準化後、二つの独立サンプルの平均数をt検定により比較した。A群7日目のインスリン感受性指数(ISI)及びインスリン分泌機能指数(IS)を介入前のデータと比較すると有意差が認められた(P<0.05)。B群の異なる時期のインスリン感受性ISIと分泌機能指標ISを比較しても有意差は認められなかった。

5.二つ対象群の被験者の血糖調整期の長さと夜間低血糖発生率の比較
 A群被験者の血糖調整期の平均値は13.5±2.88日、B群は19.5±2.89日で在った。テストにより不均一分散が知られ(F<0.001、p=1.0)、調整後に両群における血糖調整値の差は有意だと認められた(t=-16.113、p<0.001)。陰性対照群での血糖調整期は介入対象群より長かったことが示唆された。A群に28名、入院中に低血糖の反応があった。B群では42名在った。二つの対象群における夜間低血糖の発生率には有意差が在った。陰性対照群の夜間における低血糖の発生率はマリンオリゴペプチド介入群より高かったことが確認された。

【結論】
 本介入研究では、糖尿病入院患者に従来の薬と食事療法で治療する並行し、毎日の朝食前と就寝前に6.5gのマリンコラーゲンペプチドを摂取させ、摂取前後の血糖代謝とインスリン分泌機能感受性などの項目について検討した。次のような結果が得られた。
■マリンオリゴペプチドは、糖尿病被験者の空腹時の血糖値レベルを有意に降下させる補助効果を示した。短期介入においても糖尿病被験者の糖調整機能を改善でき、血糖値を安定させ、かつ下降させる補助効果が確認された。
■マリンオリゴペプチドは糖尿病被験者のインスリン分泌機能、ならびに被験者のインスリン感受性を有意に改善した。マリンオリゴペプチドには、血糖低下作用が在ると考察された。
■マリンオリゴペプチドは糖尿病被験者の血糖調整期を有意に短縮し、被験者の入院期間を減らすことができた。
■マリンオリゴペプチドは、糖尿病被験者の夜間低血糖の発生率を有意に低下させた。以上のとおり、糖尿病被験者群の低血糖の予防と治療にマリンオリゴペプチドは補助的効果を保持していたと認められた。


 

[論文No.1021]マリンオリゴペプチドの血糖値低下に及ぼす補助的効果についての臨床研究

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