要旨
【目的】
深海魚皮の加水分解物であるマリンオリゴペプチドの組成や分子量分布について分析を行うとともに、血糖値調節に及ぼす影響について研究する。
【方法】
ゲルクロマトグラフィー、HPLC(高速液体クロマトグラフィー (High performance liquid chromatography))、飛行時間型質量分析、アミノ酸分析などの技術を用いてマリンオリゴペプチドの組成や分子量分布について解析を行った。
アロキサンにより誘発させた高血糖モデルラットを用いて、マリンオリゴペプチドの空腹時血糖値が高いモデルラットの耐糖能に及ぼす影響を調べた。
【結果】
第1段階の分析結果のとおり、マリンオリゴペプチドのアミノ酸含有量は75.1%で、分子量範囲は103〜860Daで在った。アミノ酸、または、低分子ペプチドや塩基物を含む。動物試験に基づき、0.225g/kg.bw、0.45g/kg.bw、1.35g/kg.bw、三用量のマリンオリゴペプチドのアロキサン誘導高血糖モデルラットへの投与は、耐糖能検査の下曲線の血糖値エリアを上昇させ、血清総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロールレベルを上昇させた。0.45g/kg.bwマリンオリゴペプチドはモデルラットの血清尿素窒素濃度を低下させた。
【結論】
マリンオリゴペプチドはアミノ酸、低ペプチド、およびその塩基物で構成されていた。アロキサンの誘導による脂質異常、肝臓および腎臓の機能不全に一定の改善効果が見られた。