要旨
【目的】
近年、海洋生物は様々な資源の宝庫としてその豊かな活用が求められている。本研究ではマリンオリゴペプチドの遺伝毒性に関する安全性評価を行うことにより、様々な開発利用に前提となる安全性へのエビデンスを提供する。
【方法】
マウスを用いてAmes試験、マウス骨髄小核試験、マウス精子形態学検査を行い、統計に基づき分析した。
【結果】
本研究に使用したマリンオリゴペプチドは遊離アミノ酸成分を含有するため、ヒスチジンのAmes試験結果への影響を避けるため、検体の前処理にてヒスチジンの除去を行い試験結果の向上を図った。
遺伝毒性試験を通じ、in vitro試験により、原核細胞や真核細胞、生殖細胞や体細胞へのマリンオリゴペプチドの遺伝作用をスクリーニングにより評価を行った。Ames試験では、5㎎/プレートおよびそれ以下の4群の投与量群の結果は全て陰性であった。マウス骨髄細胞の小核試験とマウスの精子奇形試験では、10g/kgならびにそれ以下の2つの投与量群の結果に於いても、全て陰性であった(P>0.05)。
【結論】
本実験結果より、マリンオリゴペプチドには遺伝毒性作用のないことが示された。推奨用量内でのマリンオリゴペプチドの使用は、全く無害で、安全であることが確認された。