対談シリーズVol.1 オリゴペプチドはなぜ不味い?

みなさま、こんにちは。

 

2021年も下半期に入りました。
先ほど、この夏一番の蝉の声が聞こえました。
時間が過ぎるのは早いですね。
早いと言えば、スーパーオリゴペプチドが誕生して9年目を迎えております。

世界の人々の食糧問題と健康問題の解決を目指し、スーパーオリゴペプチドが誕生したのは2013年でした。

みなさまの日頃のご愛顧に感謝し、ペプチドの歴史や効果をあらためてご紹介させていただくために、今回は製品の研究開発に深く関わっておられます研究所長の陳少言先生にインタビューさせていただきました。

その内容を、「対談シリーズ」にしてお届けさせていただきます。

 

対談シリーズ(1回目) オリゴペプチドはなぜ不味い?

1、スーパーオリゴペプチドは、どんな味?

まずい前原:
陳先生、こんにちは。
今回は記念すべき(?)初回ですので、失礼を承知の上で、ずばり聞かせていただきます。
スーパーオリゴペプチドは、なぜ“おいしくない”のでしょうか?

 

陳:
研究員とはいえ、手厳しいですね。
いや、研究員だからこそ、厳しいというところでしょうか。
そもそも、味はどこでどのように感じるか、知っていますか?

 

前原:
舌にある味蕾という細胞で感じます。味には、甘味、塩味、酸味、旨味、苦みがあり、舌の味蕾の分布でど
んな風に感じるか決まります。

 

陳:
そうです。味を感じるのは、舌です。
では、“味を感じさせている”のは?

 

前原:
・・・脳ですか?

 

所長:
実は、味を感じさせているのは、配列です。
口に入れたものの「端っこ」に甘味が配列されていれば甘く、苦みが配列されていれば苦く感じます。
(注)食物の遺伝子が持つ塩基配列

 

前原:
なるほど。
味を感じているのは脳ですが、味を感じさせているのは、アミノ酸ということですね。
そうなると「スーパーオリゴペプチドは、おいしくないアミノ酸を端っこに配列したから、おいしくない」ということになりますか?

 

陳:
簡単に言えば、そうなりますね。簡単に言えば、ね。

 

2、配列の謎に迫る

 

配列前原:
・・・意味深な答えですね。
その質問に対して、簡単でない答えをお願いいたします。

 

陳:
なぜ、そのような配列になっているか?ということを説明しても?

 

前原:
お願いします。

 

陳:
当社のスーパーオリゴペプチドは、製品に示した通り“平均分子量500Da以下”という、「超低分子」であること、にこだわって作っています。
アミノ酸1つの平均分子量は120Daなので、平均分子量が500Da以下ということは、アミノ酸の数は2から4になるわけです。

 

ジペプチド・トリペプチド前原:
アミノ酸の数が2、3、4では、ほとんどのアミノ酸が「端っこ」になってしまいますね。

 

陳:
そのとおり。

 

前原:
とすると、おいしくない理由は「アミノ酸の数が少ないから」ということでしょうか。

 

陳:
そうとも言えます。
しかし、アミノ酸にも、甘いアミノ酸、苦いアミノ酸、旨いアミノ酸など種類はたくさんあります。
グルタミンなど非常に美味しいアミノ酸もあります。
そのようにたくさんあるアミノ酸の中で、端っこにあるアミノ酸が味を決めるのです。

 

前原:
旨いアミノ酸は、配列の途中にあっても味を感じることはできない。
つまり、今感じているのは「端っこ味」ですね。
端っこに出てくるアミノ酸が、味を決めるとしたら、今感じている“なんとも言えない味”が「端っこ」にあるというになります。
なぜ、旨味成分を端っこに配列しなかったのですか?

 

3.スーパーオリゴペプチドの謎

 

陳:
いい質問ですね。
その質問には、スーパーオリゴペプチドの根本的なことを理解していただく必要があります。
そもそも、ペプチドとはたんぱく質の呼び方のひとつです。
たんぱく質はアミノ酸でできており、アミノ酸は、たんぱく質の最小の単位です。
ペプチドとたんぱく質はアミノ酸からできていますが、そもそも、明確な境界はありません。
アミノ酸の配列を数で区切って、「ペプチド」や「たんぱく質」と呼んでいるのです。

 

アミノ酸前原:
ペプチドもタンパク質も、どちらもアミノ酸からできています。
なぜ、呼び方が違うのでしょうか?

 

陳:

生理作用を区別するために、アミノ酸の数で区切って、呼び名をつけています。

 

前原:
アミノ酸について整理すると、
アミノ酸の数が1つのものは、アミノ酸。
アミノ酸の数が2から50のものは、ペプチド。
アミノ酸の数が50以上のものを、タンパク質と呼んでいる、ということですね。

 

陳:
そうです。一説では、たんぱく質はアミノ酸が70以上とも言われていますが、そのくらいの数になると厳密に区別する意味がなくなります。

 

前原:
一言に「ペプチド」といっても、アミノ酸の数が2から50では、幅広いように感じます。
もう少し詳しく概念を教えてください。

 

陳:
ペプチドも、アミノ酸の数を区切って呼び名をつけています。
アミノ酸の数が2つのものは、ジペプチド。
3つのものは、トリペプチド。
4つのものは、テトラペプチド。
そして、アミノ酸の数が10以下のものを総称してオリゴペプチドと呼んでいます。
逆に10以上のものははポリペプチドと呼んでいます。
(注)オリゴとは、ギリシャ語で少ないを意味するオリゴスという言葉が語源。

 

前原:
あれ? スーパーオリゴペプチドがありませんね。

 

陳:
気づきましたか?
当社のペプチドは、10以下のオリゴペプチドだけでは満足することができなかったので、徹底的に低分子すにることで「スーパー」になりました。

 

前原:
アミノ酸10以下でもすごく小さいと思うのですが、満足しませんでしたか?

 

陳:
はい。オリゴペプチド、つまりアミノ酸の数が7や10では満足できませんでした。
当社のペプチドは、アミノ酸の数が2から4で作っています。それをオリゴペプチドと区別して、スーパーオリゴペプチドと呼んでいます。

前原:
アミノ酸の数を厳密に区別することで、科学的に栄養の摂取・消化・吸収の効果を解明したということでしょうか。

 

陳:
そうです。

 

前原:
アミノ酸の数を2から4にしたのは、なぜですか?

 

陳:
例えば、アミノ酸の数が10では、ヒトの消化器から直接吸収することはできません。
配列が長すぎるため、さらに消化する必要があります。
ヒトが直接吸収するのに最適な単位は、アミノ酸の数が2、3、4なのです。

 

前原:
なるほど。だから、アミノ酸の数を4までにして、スーパー化したのですね。

 

陳:
少し違います。
ヒトが直接吸収する長さは、アミノ酸の数が2、3、4で、4までではありません。

 

4.アミノ酸の数にこだわる

 

前原:
アミノ酸の単体よりも、2から4の方が、吸収しやすいということですか???

 

陳:
正解! 実はそうなんです。

 

前原:
不思議です。小さければ小さいほど吸収しやすいと思っていました・・・。
まさか、1よりも2〜4の方が良いなんて・・・。驚きです。

 

陳:
そう思われている人は多いと思います。
ヒトは、たんぱく質を作り出すために、食物を摂取し、消化吸収しています。
どのようにタンパク質を吸収しているか、知っていますか?

 

前原:
教えてください。

 

陳:
ヒトは、タンパク質の3分の2を、ジペプチドとトリペプチドのかたちで吸収します。
つまり、アミノ酸のかたちで吸収しているのは3分の1しかありません。
ここで面白いのは、その割合だけでなく、ジペプチド、トリペプチドの吸収速度は、アミノ酸の吸収速度の20倍という点です。

 

前原:
つまり、「スーパーオリゴペプチド」の吸収速度は、アミノ酸単体よりも20倍速く摂取できるということですね?
驚きの連続ですが・・・。
速度が速いから多く吸収できるのでしょうか。

 

陳:
ジペプチドとトリペプチドの良い点は、吸収の早さだけではありません。
アミノ酸の吸収通路は一つしかありませんが、ジペプチドとトリペプチドは複数の通路から吸収することができます。

 

前原:
つまり、ジペプチドとトリペプチドは、吸収力、吸収速度ともにアミノ酸を大きく上回るのですね。
オリゴペプチドとスーパーオリゴペプチドの違いがよくわかりました。
アミノ酸の数については、次回、改めてお聞きさせてください。ところで・・・。

 

陳:
なぜ不味いか、ですね?

 

前原:
はい。愛飲者のみなさまが知りたいのは、そこですから。

 

5.意図的に不味いわけではない

 

スーパーオリゴペプチド

前原:
「この製品は飲みにくい」というお声は届いていますか?

 

陳:
はい。

 

前原:
声が届いているのに改良されていないということから考えると、改良できないのでしょうか。
または、わざと改良しない。飲みにくくしていることで効果があるのでしょうか。

 

陳:
どちらもそうであり、そうでありません。

 

前原:・・・。

 

陳:
改良できないのではなく、わざと飲みにくくしているのでもありません。
我々は、「飲む人に合わせやすくしている」と理解しています。

 

前原:

飲む人に合わせやすい不味さ、ですか?

 

陳:
はい。例えば、製品を甘くすることは、そう困難ではありません。
甘い味を足すか。甘い配列になるように再開発するか。
しかし、そうすることは、甘いものを好まない方には合いませんし、製品の「血糖を下げる効果」を損ねてしまいます。

 

前原:
そうですね。甘いと飲むタイミングも考える必要があります。

 

陳:
また、飲みやすくすることもそう困難ではありません。
固めて錠剤にしたり、カプセルに入れたり、ドリンクにしたり。
その様に加工されているペプチド商品は、すでに出回っています。
しかし、そうすることは、溶けやすく即効性のある栄養としての製品の良さを損ねてしまいます。

 

前原:
研究所として、製品の栄養価値と健康の増進機能を大切にされているということですか。
それが、日本食品ペプチド研究所のポリシーというわけですね。

 

陳:
そういうことです。

 

前原:
そういえば、コーヒーに混ぜて食前に飲んでいる人もいれば、オロナミンCに混ぜて、15時に飲んでいるという話も聞いたことがあります。また、粉をそのまま口に含んで、パサパサを楽しんでいる人もいるようですし。
「良薬、口に苦し」というので、意図的に不味くされているのかと思っていましたが、そんなはずありませんね。大変失礼いたしました。

 

陳:
いえいえ。
飲む人が自由に、飲みやすい方法で飲んでいただければ良いと考えて、敢えて手を加えずにいるんですよ。

 

前原:
美味しくなくても、意図して加味しないことで、個人に合わせた健康管理をサポートしているということがよく分かりました。
本日はありがとうございました。

 

(編集後記)

皆様いかがでしたか?
インタビューは、あっという間の時間でした。

今回、研究所長の陳先生にお話を聞いてみて、あらためて研究所の理念や栄養に関する意識の高さを知ることができました。

 

第2回もお楽しみに。


それでは、みなさま。
夏バテしない7月をお過ごしください。

研究員 前原なおみ