国際食品由来ペプチド研究学会報告①発見!!高齢期の栄養状態に関するペプチドの効果

column_img20160615_01「発見!!高齢期の栄養状態に関するペプチドの効果」

 

みなさん、こんにちは。

近づく夏、どのような日々をお過ごしでしょうか。

近くの小学校では、先週プールの掃除が行われていました。

ボディーラインの気になる季節がやってきたようです。

 

さて、前回ご報告しましたとおり、広東省でたくさん研究報告を聞かせていただきましたので、ご報告させていただきます。

今回は、高齢期の栄養状態に関するペプチドの効果について。

 

みなさんは、ある程度の年齢になると筋肉が減っていくことにお気づきでしょうか。

 年齢を重ねるとともに、何もないところで転びやすいとか、疲れやすくなると言われますが、40歳を超えたころから少しずつ身体機能の低下を経験されているのではないでしょうか。

いや、30歳から経験しているって??

 そうかも・・・(××)/

 

昨年、日本の高齢化率は25%を超えました。

4人に1人が高齢者となった日本では、サルコペニアの研究が盛んに行われています。

サルコペニアってご存知ですか???

 

筋肉減弱症とも言われ、「加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力の低下」と定義されています。

その原因は、①年齢そのもの ②運動しないこと ③栄養が不足することなどがあげられ、高齢になるほど多く見られ、70歳代で3人に1人、80歳以上では2人に1人が診断されると言われています。

筋肉が減ること、それ自体は問題ではありません。

しかし、筋肉が減ることにより転倒や骨折の危険性が増し、自立した生活が困難なることが多いことから、予防する必要があると言われています。

 

column_img20160615_02サルコペニアの正式な診断は、筋肉量や握力、歩行速度、CTやMRI検査などで行いますが、今日は飯島准教授(東京大学 高齢社会総合研究機構)が考案した「指輪っかテスト」という自己評価をしてみませんか?

 

 方法は、いたって簡単。

1.両手の親指と人さし指を立てます。

2.ふくらはぎの一番太い部分で、その4本の指をつないで「輪」を作ります。

3.ふくらはぎと指で作った輪の大きさを比較します。

 

それでは、チェックを。 

指で作った輪より、ふくらはぎの方が太くて「囲めない人」

→ まだ大丈夫。

指で作った輪が、ふくらはぎにぴったりの「ちょうど囲める人」

→ 大丈夫。

指で作った輪が、ふくらはぎより大きく、輪に「隙間ができる人」 

→ 注意は必要。

要注意のあなたは、筋肉が減っているサルコペニアかもしれません。

 

 

 サルコペニアをチェックすることが目的ではありません。

そこで、『第4回国際食品由来ペプチド学術研究学会(IACFP)』からのご報告を。

 

その研究は、「混合オリゴペプチド製剤の超高齢者栄養介入における応用」というタイトルで、WATAMI株式会社の麻植有希子先生が発表されました。

 

簡単にご紹介すると、高齢者施設に入所している介護を必要としている、88歳前後で、体重が45キログラム前後の高齢者22名を対象とした研究です。

22名の中から、無作為に11名を選び、1日6グラム(3グラムを2回)の混合オリゴペプチドを1年間飲んでいただき、ペプチドを飲まなかった11名と1年後に栄養状態を比較したものです。

 

その結果は?

ペプチドを飲まなかった高齢者は、1年で平均2.5キログラムの体重減少がありました。

ペプチドを飲んだ高齢者は、1年で平均0.6キログラムの体重減少がありました。

1.9キログラム。その差、歴然。

 

年を重ねると、食事を普通に摂取していても、体重がへっていくことがあります。

その要因は、

①加齢や活動の低下により、筋肉が減少すること

②筋肉減少によって、体内水分量が減ること

③食べたものを、消化・分解する機能が低下すること

④分解された栄養を吸収する機能が低下すること などです。

このことから、高齢期の体重減少は、自然な経過であると言えます。

  低栄養でなくても、体重は減少する。

恐るべき、高齢期の身体変化。

 

しかし。

ペプチドを継続的に飲んでいた高齢者の体重減少は抑えられ、ペプチドを飲まなかった高齢者の体重減少と比較すると、有意に差が見られました。

 

発見

ペプチドは、高齢期の体重減少に抵抗する栄養素である!!!

 

さて、みなさん。

今日は、どんな日かご存知ですか?

そう、今後の人生の中で「いちばん若い日」です。

年齢による身体的変化を予防するためには、予防が治療に勝ります。

 

みなさんの今日が、健康な未来へのスタートとなりますように。

 

研究員 前原なおみ