みなさん、こんにちは。
寒さもようやく温み、梅の花が満開ですね。
今年も、水仙に始まった「盛花ランナー」は、椿、梅、桃、桜、菜の花へと駆け抜けていきそうです。
みなさん、最近はどんな花をご連になりましたか?
わたしは、先日、“しだれ梅” を見てきました。
150本の梅が咲き誇り、一面に甘い香りが漂っていました。
ご存じのとおり “しだれ” は、“枝垂れ” と書き、枝が垂れていることが特徴です。
満開の梅を見ながら、「光合成する植物は太陽の方向に枝を伸ばす性質がある」と小学校で習ったことを思い出し、なぜ枝垂れるのか?に関心を持ちました。
ということは、枝垂れている植物は光合成ではないのでしょうか???
調べて驚いたことは、「枝垂れ種」は、普通に立っている「立ち種」からの突然変異というではありませんか。
みなさんは、「年輪」を見たことはありますか?
切株を見ると、中心があり、そこから同じ太さになるように全周外側にむけて成長しているため、多少の差はあっても同心円状になっていますね。
年輪は、幹だけでなく枝にも見られますが、幹と同じように同心円状に成長しているのが「枝垂れ種」で、「立ち種」の枝は同心円状に成長していないのです。
わたしは、同心円状の成長をしているのが「立ち種」だと思っていましたが、大きな間違いを発見しました。
ここが植物の進化というか、神秘なのでしょう。
「立ち種」の枝は、枝の上半分が広く、下半分は狭いという偏った形の年輪をしています。
植物の成長ホルモンは、枝を伸ばすことに関係するオーキシンと、枝を太くするジベレリンがあり、このホルモンを調節することにより植物は枝の上半分を強化し、上へ上へと成長していきます。
しかし、「枝垂れ種」はジベレリンが遺伝的に不足しているため、枝を上に引っ張るために太くする力が弱く、垂れた姿となります。
枝垂れ桜にジベレリンを与えると、立ち桜に成長したという実験もされていました。
つまり、枝垂れ種は、他の植物との共存が困難な種。
そんな植物としての致命的な欠陥があったからこそ、希少で情緒を醸し出し、愛でられ、専用の土地を与えられ、優雅に生き残ることができた、まさに“運のいい種”と言えますね。
京都にも枝垂れ梅や枝垂れ桜が有名な場所がいくつかありますが、しみじみとした情緒ある姿が “いとあわれなり” だったからかもしれません。
枝垂れ桜といえば、秋田県の角館屋敷通り、福島県の日中線、東京の六義園などが有名ですが、ぜひ見に行きたいものです。
今年の満開予報は3月末ごろ。
別れの3月、始まりの4月。
枝垂れ桜を見て、運のいい年度初めを過ごしていかがでしょうか。
枝垂れていても、枝垂れていなくても、美しくあるためにはエネルギーが必要です。
それでは、みなさん。
美しい今日1日をお過ごしください。