みなさん、こんにちは。
暑さも落ち着いてきた今日この頃。
振り返ってみて、みなさんの夏はどんな夏でしたか?
プールに野球にオリンピックに、そして猛暑に台風に・・。
さまざまな「ひと夏」をお過ごしのことと思います。
夏の次に来るのは秋ですね。
日本人1000人に「秋と言えば?」を調査した報告によると、
第5位:芸術の秋。第4位:紅葉の秋。第3位:読書の秋。第2位:食欲の秋。
そして、第1位はスポーツの秋だったそうです。
読書と言えば、「あれっ?この本読んだことあるような・・・」ということはありませんか?
そうです。
つい最近も、本の2冊目を買ってしまっていました。
しかも。
読み始めでなく、読み進んでから気が付くなんて(××)。
そんなわたしと、秋を楽しみたいみなさんに朗報が。
論文No.0026『マリンオリゴペプチドの高齢者記憶改善能力に及ぼす影響』からご紹介いたします。
この論文の目的は、マリンオリゴペプチドが高齢者の学習記憶能力を改善する効果とそのメカニズムを探求することです(データの詳細はHP論文をご覧ください)。
調査は、生後20か月のマウス80匹を、
①ペプチドを全く摂取させなかった20匹、
②ペプチド0.22%を6か月摂取させた20匹、
③ペプチド0.44%を6か月摂取させた20匹、
④ペプチド1.32%を6か月摂取させた20匹にわけ、
さらに
⑤生後3か月のマウス20匹と比較したものです。
もう、お分かりですね。
高齢マウス VS 若者マウス~。
世の中は、やはり厳しいですね。
簡単に結果を。
この研究では、3つの実験をしていますが、記憶した電気が流れる場所に行く回数が一番少なく、安全な場所に長く留まり、また水迷路から脱出する速度も優位に早かった順は、⑤生後3か月のマウス ④ペプチド0.44%を摂取したマウス、続いて③、②、①でした。しかし、驚くなかれ④の高齢ペプチドマウスは、⑤の若者マウスとほぼ等しい成績を出していました。
ここでは、高齢マウスはマリンオリゴペプチドを摂取することにより、空間学習記憶力と、受動的回避能力が有意に高められ、若者マウスほどの能力を発揮できるということです。
また、詳しい説明はしませんが、その理由も分析されていました。
そして、報告は以下のように結論付けられています。
『以上の結果により、マリンオリゴペプチドは、抗酸化能、或いはBDNF(脳由来神経栄養因子) の分泌を促進することにより、加齢に伴う学習記憶能力の低下を予防することを示した。』
つまり、マリンオリゴペプチドは、記憶の司令塔と言われる「海馬(脳の一部)」に影響して、加齢に伴う学習記憶能力の低下を予防する、という結果が得られていました。
覚えておきたい記憶。
覚えておかなければならない記憶。
記憶にも、いろいろありますが。
年をとっても記憶能力の低下が予防されるのは、とてもうれしいですね。
そういえば、エビングハウス(19世紀ドイツの実験心理学者)によれば、人の脳は記憶したことを20分後には4割以上忘れ、1日後には7割以上を忘れるようにできているそうです。
それは、脳が生存にかかわる重要な情報を優先して記憶するからで、不要な情報を整理して忘れることは必要なのですが。
できれば、生活の中の『あの・・、あれ・・。それ・・。』と言わなくて良いくらいには、記憶力は残っていてほしいものです。
それでは。
iPhoneや電子機器の発展で、記憶力が衰えやすい現代。
みなさんの脳力が、明日も活用されますように。
研究員 前原なおみ