高齢者栄養と運動機能をテーマに当研究所との共同研究により、日本病態栄養改善学会および日本静脈経腸栄養学会(JASPEN)で発表が行われました。

ポスター画像IMG_4644




 ■写真をクリックされますとポスター詳細をご覧いただけます。

 ■ポスターの前でにこやかな笑顔の麻植先生です。



弊社研究所での共同研究:『オリゴペプチド混合製剤を用いた高齢者の栄養改善』の研究が順調に成果を上げています。今回、その前調査研究結果が、日本病態栄養改善学会および日本静脈経腸栄養学会(JASPEN)の各学会で相次いで発表されました。高齢者栄養と運動機能をテーマに、今回は非常にたくさんの皆様の協力を得て、非常に大規模な介入研究であり、その詳細についての報告は、多くの皆様の関心を頂くところとなっております。


平成26年1月11日(土)・12日(日)の両日、大阪国際会議場で、第17回 日本病態栄養改善学会 年次会学術集会が開催されました。
発表は、第2日目1月12日(日) 09:40~10:50 会議室1202で
O-376 一般的な臨床検査項目からみるサルコペニア関連因子の模索~高齢者福祉施設~ 発表者は麻植有希子1,神山佐奈美1,吉田智2,堀田志保2,鈴木靖志3の各先生です。
1.ワタミの介護株式会社 栄養サービス部
2.東京サラヤ株式会社 栄養ケア推進室
3.サラヤ株式会社 バイオケミカル研究所

加齢に伴う低栄養や運動機能の低下はサルコペニア(廃用性筋萎縮症)リスクを増大させることが知られている。今回、高齢者施設入居者における要介護高齢者のサルコペニアリスク度を「日本人のサルコペニア簡易推定式」により評価し、一般的な臨床項目との関係性について検討した。対象者は施設利用者のうち定期健診受診者6218名、検査データに欠損値のないもの、脱水の可能性のあるものを除く1823名とする。

結果、サルコペニアは予備群を含めて全体で37.7%を占め、男性が57.8%、女性が31.1%と女性より男性の割合が多い傾向にあった。またサルコペニアを評価する骨格筋指数(skeletal muscle mass index:SMI)とAlbやHbなどの栄養指標との間に相関性はほとんどなく、反対に蛋白質代謝に関わるCre、UAと弱い相関関係を認めた。

今回、SMIとの関係性は推算式を用いたため骨格筋量との関係性を直接検討する必要性はあるが、Cre、UAは腎機能を評価するだけでなくサルコペニアのリスクを評価する指標として有効である可能性がある。サルコペニアは高齢期の転倒・骨折・寝たきりなどの一番の原因となっていると考えられQOLに大きな影響を与えることが予測される。早期に発見し、早期に食事調整や栄養介入をすることが予防につながると考えられる。

※日本人のサルコペニア簡易推定式
Male: SMI = 0.220×BMI(kg/m2)+2.991 Famale: SMI = 0.141×BMI(kg/m2)+3.377


平成26年2月27日(木)・28日(金)の両日、パシフィコ横浜にて第29回日本静脈経腸栄養学会学術集会が開催されました。

高齢者介護施設における介護度別にみる栄養状態とサルコペニアの関連性について、麻植有希子1,吉田智2両先生が発表されました。
   1.ワタミの介護株式会社 栄養サービス部
   2.東京サラヤ株式会社 栄養ケア推進室

加齢に伴う身体機能の低下は栄養状態や運動機能の低下を招き、低栄養やサルコペニア(廃用性筋萎縮症)のリスクを高めることが予想される。今回、高齢者を対象に認知症・日常生活自立度および要支援・要介護状態区分、食形態ごとに栄養状態ならびにサルコペニアのリスク度について実態を把握し、その関係性を明らかにした。

対象者は施設利用者のうち定期健診受診者6218名で、検査データに欠損値のないもの、脱水の可能性のあるものを除く1744名とする。栄養評価方法としてGeriatric Nutritional Risk Index(GNRI)、サルコペニアのリスク評価には「日本人のサルコペニア簡易推定式」にあるSkeletal Muscle Index(SMI)を用いた。

結果、認知症・日常生活自立度および要介護状態区分等、また食形態が低下するに従い、栄養状態の低下やサルコペニアのリスク度が高まる傾向が示された。栄養状態の悪化は身体機能の低下やサルコペニア等を招き、更なる健康状態の悪化につながることから、早期の適切な食形態の提供および栄養介入が低栄養リスクを低減させ、入居者の健康増進に寄与できることが期待される。