地道な共同研究が続けられています・・・

■ 現在進行中の共同研究が2件あります。 どちらも貴重な介入実験になります。詳細に付きましては、後日、研究発表等によりご紹介させていただきます。

■ サラヤ株式会社 バイオケミカル研究所では、栄養介入による周術期の回復能力強化プログラムの一環として、ペプチドを配合した製剤の開発が行われています。2013年11月11日、北京会議での講演では、人介入試験に基づき、実際にヒドロキシプロリンをはじめとするアミノ酸が血中に吸収され、効果を発揮している状態等のご報告があり、非常に興味深い内容でした。

■詳細
近年提唱されているERAS(Enhanced Recovery after Surgery:エビデンスに基づいて作成された術後回復能力強化プログラム)の考え方の中に術後の経口栄養摂取が項目としてあげられています。周術期に適切な経口からの栄養摂取を行うことで術後の回復能力が高められることが示唆されています。
超高齢化社会に突入している日本では、特に注目されるエビデンスで、サラヤ株式会社、バイオケミカル研究所では、周術期の回復促進に寄与する食品サプリメントを開発中です。

介入実験としても、大阪大学大学院と既に共同研究が進められています。が、それに先駆けて、健常者(平均年齢43歳の男性7名と平均年齢40歳女性5名)12名に開発食品を試食していただいた結果が報告されました。中でも、血液中に含まれるアミノ酸:ヒドロキシプロリンの量が、創傷治癒と深く関わっていることが知られ、結腸縫合術を行うと血液中のヒドロキシプロリン量が低下し、術後の回復が進むにつれて正常値に戻っていくことが犬の動物実験で実証され、術後にヒドロキシプロリンの要求量が高まっていることの傍証と考えられています。
ちなみに、12名の被験者の方には、毎日三包を2週間試食していただきました。その前後の血液検査の比較から、創傷治癒に必要とされるヒドロキシプロリン量が明らかに良好な状態に在ることが報告されました。

 

■オリゴペプチド製剤の経口摂取による栄養障害の改善効果
(発表後作成)
非盲検・並行群間比較試験
被験者数:80名
個人情報保護
本研究のすべての担当者は、「ヘルシンキ宣言」および「臨床研究に関する倫理指針(平成20年7月31日改正)」を遵守して実施する。


■研究目的
加齢に伴い、インスリン抵抗性の上昇や運動機能の低下が見られる。これらは、骨格筋の廃用を招き、メタボリックシンドロームやサルコペニアなどの疾病リスクを高める。特に高齢者においては潜在的なPEM(Protein Energy Malnutorition)やPEW(Protein Energy Wasting)などの栄養障害が危惧されている。これらの栄養障害の改善の方法には適切なエネルギーとタンパク質の摂取などが必要である。しかし、喫食量の低下や消化吸収機能の低下により、十分な栄養を摂取することが困難となる。そのため、消化吸収効率の高い素材の補給が望まれる。 今回は、消化吸収効率の高いオリゴペプチド製剤を経口にて摂取させることにより、栄養障害への改善を促し、介護度や日常生活自立度の向上に寄与できるかを評価する。