大阪大学の研究グループがアミノ酸を効率的な合成手法を開発

大学ジャーナルオンライン編集部によると「大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻の星本陽一講師らの研究グループは、ホウ素を含む有機分子触媒と水素ガスを用いて、多種多様なアミノ酸を高効率的に合成する手法を開発した。」と公表した。
これまでの合成にあった触媒や残留金属除去にかかるコスト、大量の廃棄物が生じるという問題が解決されそうだ。
この研究によって、低コストの医薬品などが期待できるようだ。

 

アミノ酸はタンパク質の最小単位で、そのアミノ酸が複数結合したものが、ペプチドです。

ペプチドには、アミノ酸単体とは異なる機能が認められているので、今後はペプチドの合成も可能になるのでしょうか。

注目したいところです。

 

大阪大学が水素を活用したクリーンなアミノ酸合成法を実現

 

大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻の星本陽一講師らの研究グループは、ホウ素を含む有機分子触媒と水素ガスを用いて、多種多様なアミノ酸を高効率的に合成する手法を開発した
アミン化合物は多くの医薬品、農薬、機能性材料、食品添加物に含まれる重要な有機化合物である。これまでのアミン化合物の合成反応には、レアメタル触媒が必須とされており、触媒のコストや生成物に含まれる残留金属の除去にかかるコストが大きな問題となっていた。近年、レアメタルを使用しない有機分子触媒と有機還元剤を用いた手法も開発されているが、廃棄物が大量に生じるという問題点があった。
そこで今回、同グループは、ホウ素を含む有機分子触媒を用いることで、水素(H2)を還元剤とする画期的な還元的アミノ化反応を開発した。驚くべきことに、反応の副生成物は水のみであり、環境に与える負荷がゼロに近い。さらに、特筆すべきは、この反応の応用性の広さである。多種多様なアミノ酸の高度官能基化に利用でき、医薬品や農薬に含まれるアミン化合物を短工程・高効率で合成可能になった。
今回の成果は、長年、開発が待ち望まれていた反応を達成したものであり、この合成方法により、医薬品が低環境負荷、低コスト、かつ簡便に合成可能となり、創薬シード化合物のライブラリ拡大などにつながると期待できる。

 

論文情報:【Journal of American Chemical Society】Main-Group-Catalyzed Reductive Alkylation of Multiply Substituted Amines with Aldehydes Using H2

 

引用元:大学ジャーナルオンライン編集部