インスリンはペプチドホルモンです

ペプチドは数個以上のアミノ酸がつながってできたものです。ペプチドは体の中で色んな働きがあります。その中の一つにホルモンの作用をするペプチドがあります。
名前もそのままでペプチドホルモンと言います。その中でよく知られているのが「インスリン」です。
日本国民の約90%が糖尿病予備軍と言われる現代では、インスリンと言えば、誰もが糖尿病、血糖値を下げるなど、反射的に頭に浮かべますよね。

 

ちょっと余談ですが、ホルモンにはインスリンのようなアミノ酸が材料のペプチドホルモン以外に、副腎皮質ホルモンのようなコレステロールが材料のステロイドホルモン、アルドレナリンのようなアミノ酸の一つチロシン誘導体のカテコールアミンがあります。

どのホルモンも耳にしたものばかりですね。
ホルモンは体内に微量しかありませんが、生命を維持、生命の連続等に非常に重要な物質です。
現在、約100個のホルモンが体内にありますが、これからも新たに発見される可能性があると言われています。

 

話をペプチドホルモンのインスリンに戻します。

 

(インスリン治療になるか、ならないかの判断の検査―C-ペプチド;CPR)
CPRという糖尿病の検査があります。血糖値、ヘモグロビンA1c(過去1~2か月の血糖値の状態がわかります)に比べ、馴染みが薄いのですが、インスリン治療に入るべきかどうかを判断するのにとても重要な検査です。
膵臓において、インスリンが合成される前の物質であるプロインスリンが分解されると、インスリンと同量のC-ペプチド(CPR)が生成されます。従って、CPRを測定することで、膵臓からどれぐらいのインスリンが分泌されているかがわかります。
このCPR検査は糖尿病患者さんにとってインスリンの分泌能力の指標となります。24時間蓄尿中のCPRは20μg/日以下、又は空腹時血中CPRが0.5/ml以下であれば、インスリン分泌の大きな低下(インスリン依存性)と判断し、インスリン治療が必要となります。

 

(2型糖尿病患者さんの場合)
1型糖尿病患者さんの場合、治療開始からインスリン治療に入ることが多いのですが、2型糖尿病患者さんの場合、軽度、中等度であれば、経口糖尿病治療薬を選択することが多いです。
しかし、このような患者さんもインスリン治療を選択しなくてはいけない時があります。そのような場合、早朝空腹時のCPRインデックス(CPI)検査は非常に有益な指標になると言われています。

 

CPI=血中CPR÷血糖値×100

 

CPIが1.2以上であれば、食事療法、糖尿病治療薬で治療、0.8未満であれば、インスリン治療の施行で血糖コントロールが望ましいと判断していきます。

 

ペプチドホルモンの代表例としてインスリンを取り上げました。他のペプチドホルモンとして成長ホルモン、血糖を上げるグルカゴンなどがあります。どれも生きていくには欠かせない大変重要なペプチドホルモンです。