「外科と代謝・栄養」50巻1号2016年2月号に大阪大学グループのペプチド研究掲載

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が構築した「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)に当研究所と協力関係にある大阪大学の伊藤先生のグループが出した論文が掲載されました。

 

J-STAGEではノーベル医学・生理学賞(2015)大村智先生、ノーベル物理学賞(2015)梶田隆章先生の執筆論文が閲覧できます。

 


jssmn_50_1<論文名>「大腸がん周術期におけるオリゴペプチド製剤(PN-2)投与の安全性および有用性について:探索的無作為化比較試験」

<研究者>安枝明日香、宮﨑進、松田宙、林紀行、團野克樹、久保田勝、川田純司、山根泰子、隈元理香、藤谷和正、岩瀬和裕、伊藤壽記

 

<論文の抄録>

【目的】

術後創感染の頻度が高い大腸がん手術では創傷治癒促進、ならびに創感染リスク低減効果の期待できるペプチド製剤が有用であると考える本研究では本製剤の周術期投与における安全性・有効性についてペプチド含有製剤PN-2を用いて検討した。
【対象および方法】

大腸がん患者を術前に摂取群(10名)、非摂取群(11名、介入前に1名参加拒否)に割り付け、介入前、手術直前、介入終了時に身体計測.血液検査、アンケートを実施した摂取群は製剤12.5g/包を術前喫食開始時から7日間、術後7日間3包/日摂取し.両群を比較、検討した。
【結果】

摂取群において、未服用なく完遂でき両群ともに重篤な有害事象は発生しなかったまだ摂取群において非摂取群と比較して、血中ヒドロキシプロリン値が有意に高い結果が得られたアルブミン、総たんぱくなどの栄養評価項目においては非摂取群で有意な低下が観察された。
【結論】

PN-2は大腸がんの周術期において、安全に投与でき、術後合併症の発症率を下げ、栄養状態を改善する可能性が示唆された。

 


【J-STAGEについて引用】

ご挨拶

日本の科学技術研究を国際的なレベルに保ち発展させていくためには、優れた研究開発成果をいち早く世界に向けて発信していくことが重要です。そのためには、学協会が発行している学会誌,論文誌の発行を電子化し、インターネット上で公開していくことが効果的です。 国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) が構築した「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE) では学協会の情報発信機能を支援するため、電子ジャーナル出版に必要なハードウェア・ソフトウェアを JST 内に用意し、24 時間年中無休で運用をおこないます。学協会はそのハードウェア,ソフトウェアを利用して、現在発行中の学会誌,論文誌を容易に、かつ低コストで電子化できます。電子化した論文はこのシステムにより、世界中どこからでもアクセスできるようになります。